腑に落ちないこと
腑に落ちないこと
「腑に落ちないこと」と聞くと、思い出すことがある。あれは確か小学校1年生くらいだったか。
祖母の家で、持参した水筒を出したときのこと。
当時持っていたピンクの水筒は、幼稚園の頃に母から買ってもらった品である。
コップも兼ねている蓋を外すと、真ん中には突起ががあり、それを押し凹ませてから傾けると傾けた方位から中身が注げる仕組みとなっていた。
それを見た祖母が「最近の水筒はこういう仕組みになっているのねー」としみじみ言うものだから、「最近ではないよ。幼稚園の頃から持っていたもの」と答えた。
すると祖母は「おばあちゃんからしたら、そんな数年のことすべて最近なのさ」と言い、拗ねてしまったのである。拗ねたいのはこっちである。
小学生当時の私にとっての数年は、最近なんて括りには決してならなかった。そして数年が最近になる日が来るなんてこと、想像すらできない年頃だったのである。
今歳を重ねて、祖母の言い分も理解できるようにはなった。月日が経つのは早い。うっかりすると最近が10年なんてことにもなりかねないと思う。
当時のことを思い出すた度に「腑に落ちないなぁ」という思いと同時に、なんだか少し苦い気持ちになる。なぜ祖母のは拗ねたのか。もしかするとそこには、目の前の日々が新鮮で新しかった幼少期への羨望もあったのかもしれない。
それでもやっぱり腑に落ちないけどね!
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