【小説】あしながおじさん

『あしながおじさん』

著:ウェブスター

訳:土屋京子

言わずと知れた名作。書簡体小説。

日頃お世話になっている上司から薦められて読んでみた。

子どものころに児童向けの翻訳を読んだ記憶がうっすらある。

今回は土屋京子さんによる大人向け(?)の翻訳。

いや、別に変な意味じゃなくて子供向けではないという意味なだけだけれど(笑)

こうして新たな翻訳で読んでみると、まるで印象が違うのだからおもしろい。

ジュディはとてもチャーミングな女の子だ。

おじさまへの手紙をかなりの頻度で書いている。

手紙には良いことだけではなく、望むものを手に入れて「あたりまえ」として育った子をひがんでしまう心情や、時にはおじさんへの八つ当たりだって書く。

戦況リポート風に授業の話を書いているところなんて学ぶ喜びを存分にかみしめていることが覗えて、こんな女の子になら援助してあげたくなるよなと思わせる子なのである!!

彼女はおじさんにとても感謝していて、最終的な自分の行動の決定権はおじさんにある、としているが、譲らないところは譲らない。

確固たる自分の意思をもっているのである。

自分の出自や世の中の在り方にまで目を向けていて、それが社会主義(フェビアン主義)へとつながっていく。「プロレタリアートという階級に生まれたからには」

最終的に恋した人が、実はあしながおじさんその人だったなんて、とーってもロマンチックだ。

「ガラスの仮面」を思い出した。まるで北島まやと速水真澄だ!!

本を貸してくれた上司が以前、「最終的には古典を踏襲する」というようなことを言っていたが、まさしくその通りである。

いやー、たまらん。

時代は変われど、ときめくシチュエーションは変わらないものである。


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